Audi、徹底的に磨かれたエアロダイナミクスでル・マンに臨む

● ル・マンに向けダウンフォースを最適化したAudi R18 e-tron quattroのテスト完了
● WECスパ大会では2種のマシンをエントリー、効率を比較
● 燃費規制が厳しくなった2014年のル・マンでは、エアロダイナミクスの重要性が向上

5月13日 インゴルシュタット: Audi R18 e-tron quattro 2014年モデルは、アウディのプロトタイプカー史上、最高の燃費性能を誇っています。燃費とラップタイムの向上には、パワートレインだけではなく、優れたエアロダイナミクスが大きく貢献しています。FIA世界耐久選手権(WEC)第2戦スパ フランコルシャン大会(ベルギー)において、ル・マンのハイスピードレイアウト向けに最適化したエアロダイナミクスを持つ、別バージョンのAudi R18 e-tron quattroが見事なデビューを飾りました。

レースマシンのエアロダイナミクス開発は、マシンの基本コンセプトと密接に関連するのが通例です。アウディスポーツの2014年モデルのエアロダイナミクス開発は、2012年の夏に新型マシンのコンセプトが決定した時から始まりました。アウディスポーツ エアロダイナミクス部門リーダーのヤン モンショーは「最初に大まかなレイアウトを作ります。エンジンの基本コンセプト、ホイールベース、ラフデザインの3要素をキーとして、基本的なエアロダイナミクス形状を決定します。その後、コンピューターによる空力シミュレーション(CFD : Computational Fluid Dynamics)を活用しポテンシャルを分析します。その結果をもとに、作業に無駄が出ない様に少しずつ詳細を煮詰めました」と説明しています。コンピューターによるCFDは、マシンの設計データをもとにボディ表面の空力を算出します。開発の初期段階でCFDを活用することで、より多くのコストを必要とする風洞実験を省略することが出来ます。

開発エンジニアの悩みはいつも同じです。アウディスポーツ技術開発部門リーダーのDr. マーティン ミュルメイアーは「レギュレーションにより、これまで以上に高い燃費性能が必要となったため、空気抵抗とダウンフォースのベストバランスを探さなければなりませんでした。実走行テストの前に何度もシミュレーションを行い、必要なコーナリングスピードを支えるダウンフォースを発生させる形状を探しました。その一方で、ストレートでのトップスピード向上のために、空気抵抗は出来るだけ抑えなければなりません。2014年から始まったより厳しい燃費規制は、パワートレインだけでなく、エアロダイナミクス開発にも新しいチャレンジを生み出しました」とコメントしています。

ル・マンは長いストレートと多くのハイスピードコーナーからなっており、他のサーキットとは次元の異なる高速領域で闘われます。昨年のレースで、アウディのアンドレ ロッテラーが記録したファステストラップ(3分22.746秒)の平均速度は242km/hにも達しています。

アウディはこの問題に対処するため、多くのダウンフォースが求められる他のWEC開催サーキット向けとは別に、空気抵抗を最小限に抑えたル・マン バージョンのボディを専用開発しました。2つのバージョンは、一目見ただけで違いが明らかですが、スパ フランコルシャン大会で2台が並ぶことにより、違いがより一層明らかになりました。フロント部分は、開口部が上部から内側に移されたフェンダーが特徴的です。そしてリヤ部分はもっと顕著な違いが生まれています。ル・マン専用マシンのボディはリヤウイングと一体化され、全長がレギュレーションで認められる4,650mm最大長まで伸ばされています。これに比べ、通常モデルの全長は短めです。テールパイプの形状も異なります。ル・マン専用モデルでは、センターフィンの左右に分かれたレイアウトから、ディフューザーの上部ボディへ変更されています。

アウディは、新しい燃費規制に対応するためボディの空気抵抗を徹底的に低減するシミュレーションを繰り返しました。しかし、それと同時にコーナリングスピード向上のためのダウンフォースも必要とされます。ル・マン専用モデル開発についてヤン モンショーは「ボディのほぼ全ての部分で、通常モデルと対照的な違いが現れています。2014年からの燃費規制によって、空気抵抗低減の要求がより一層厳しさを増しました。我々は、今までにない厳しい状況の中、針に糸を通すかのようなわずかな可能性を探し当てました」と説明しています。5月3日のスパ フランコルシャンで初めて、2種のボディが同じ環境で同時に走行しました。ル・マンのデータ収集のためにエントリーしたAudi R18 e-tron quattroゼッケン3号車は、フィリップ アルバカーキ−(ポルトガル)とマルコ ボナノミ(イタリア)のドライブによって、アウディスポーツが狙った効果が発揮されていることを確認しました。それらの成果を踏まえ、アウディは6月に行われるル・マン24時間レースに磨き抜かれたエアロダイナミクスで臨みます。

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